本年度のIT補助金の公募がまもなく終了します。
ITツールの導入に対して50%(最大50万円)の補助が出ること、そしてポータルで申請が完結する利便性と、採択率の高さで3次公募に入ってから俄然人気の高まりを非常に感じます。
そのIT補助金が終わってしまう!どうしよう!
実は、厚生労働省の助成金にも、ITツール導入に使える助成金があります。
業務改善助成金
という助成金です。
しかも、助成率はIT補助金の50%以上の70%~最大80%!
さらに、IT補助金の最大50万円補助に対して最大100万円助成!
いいことづくしに聞こえますが、IT補助金の方が有名で活用が進んでいるのには理由があります。
業務改善助成金とIT補助金との違い
1.対象企業
事業場内最低賃金が 1,000 円未満の中小企業・小規模事業者。
IT補助金が社長1人企業でも導入できたのに対して、こちらは従業員が1名以上必要です。
しかも、時給換算で1000円未満の6ヶ月以上勤務している従業員です。
雇用保険に加入しているかどうかは問われません。
この要件を満たすことができるかどうかが、この助成金を活用してITツールを導入することができるかどうかの大きな分かれ目になります。
2.最大助成額と助成率
下記表のとおり、時給の上げ幅と対象従業員数によって、最大額50万円~100万円まで幅があり、IT補助金の最大50万円以上の助成額となります。
1名以上に対して40円以上の引き上げで最大70万円のコースと、
30円以上の引き上げで人数に応じて段階的に最大50~100万円となるコースが選択可能なため、導入するITツールの価格と対象人数に応じて最適なコースを選択することができます。
どちらのコースを選択しても助成率は共通で、中小企業の中でも30人以下なら3/4(生産性要件を満たせば4/5)、30人超でも7/10(生産性要件を満たせば3/4)
生産性要件についてはこちらをご覧ください。
3.対象となるITツールと事例
業務改善助成金は、生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)や人材育成に係る研修、業務改善のためのコンサルティングなどにかかった費用が助成対象となります。
つまり、実は助成対象となる費用はITツールに限りません。
対象となる経費は
謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、原材料費、機械装置等購入費、造作費、人材育成・教育訓練費、経営コンサルティング経費、委託費
と多岐にわたっています。
その一方でIT補助金では対象となるホームページ作成は、単なる見せるだけのホームページ制作では対象とならず、
- 見積もりシステムを導入したホームページ
- 受発注システムを導入したホームページ
といった業務効率を上げる仕組みが組み込まれている必要があります。
※単なる「お問い合わせフォーム」は対象外となります。
その他下記が対象事例として紹介されています。
・POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
・顧客・在庫・帳票管理システムの導入による業務の効率化
・専門家による業務フロー見直しによる顧客回転率の向上 など。
4.申請の手間
業務改善助成金は、IT補助金のようにポータルでかんたん申請というわけにはいきません。実務上社会保険労務士以外には申請は困難といえます。
※有料での代理申請は社会保険労務士以外には認められていません
下記が業務助成金の申請手順になります。
STEP 1助成金交付申請書を労働局に提出!
事業改善計画と賃金引上げ計画を記載した交付申請書を都道府県労働局に提出。内容が適正と認められれば助成金の交付決定通知が届きます。
STEP 2設備・機器の導入などで生産性を向上!
生産向上、労働能率の増進が図られる設備投資などを行い、業務の効率化を目指します。
STEP 3事業場内の最低賃金を引上げ!
事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げます。
STEP 4助成金を支給!
業務改善計画の実施結果と賃金引上げ状況を記載した事業実績報告書を提出。助成金額の確定後に助成金が支払われます。
しかも、全ての書類は紙で行う必要があり、計画に際しては従業員の意見などを記載する必要がある等、書類作成の負荷は重く、IT補助金と異なりベンダーが申請はできません。
そのため、通常は受給額の20~30%の社会保険労務士への報酬を支払い、申請代行をしてもらうのが一般的です。
5.受給例
例)中小企業が、90万円のITツール投資を行うことで生産性を向上し、1名(年間1000時間)の時給を40円上げて最大70万円(助成率3/4)の需給を受けた場合の例(税抜きにて算出しています)
品目 | 支出 | 収入 | 実負担 |
ITツール投資 | 900,000 | ||
業務改善助成金 | 675,000 | ||
時給アップ分 | 40,000 | ||
社労士報酬 | 135,000 | ||
合計 | 1,075,000 | 675,000 | 400,000 |
というわけで実負担は90万円中40万円となり、1年間の時給アップ分の賃金と弊社標準の20%の社会保険労務士報酬を加味しても、IT補助金の50%と遜色ない助成率といえます。
そして、忘れてはならないのは、2018年10月に最低賃金が全国平均26円上昇しており、2019年にも同様のアップが見込まれていることです。
最低賃金の従業員を雇用している企業の場合は、遅かれ早かれ数十円の賃金アップは免れません。
それならば、先んじて手を打ち、設備投資に助成を受ける方が有効ではないでしょうか?そんな用途に向いているのが業務改善助成金です。
6.申請期限
本年度の業務改善助成金の交付申請(事業改善計画と賃金引上げ計画の申請)の期限は、2019/1/31(木)となっています。
1月末までに申請し、2月中の交付決定を受けて、3月末までに賃金の引き上げと設備の導入を行う→事業実績報告書の提出、というイメージです。
1月末だと上記のようにかなりタイトなスケジュールとなるため、できるかぎり12月までに計画を行うのがおすすめです。
業務改善助成金とIT補助金の使い分けについて
平成31年度もIT補助金の予定が噂されています。
前年度と同様だった場合、両方の対象になるようなツールであれば、業務改善助成金は最大100万の助成額上限と、70%~80%の高い助成率から、業より高額なITツールの導入に向いていると言えます。
特に、生産性向上に向いているRPAツールと従業員への研修や導入コンサルティングなどは業務改善助成金向きの設備投資ではないでしょうか?
弊社取り扱いのRPAツール「ハートコア ロボ」
一番重要な要件
「時給換算1000円未満で6ヶ月以上雇用している従業員が1人
を満たせる場合は、ぜひ業務改善助成金を活用してのITツール導入のご検討をしてはいかがでしょう?